自宅と最寄り駅の間にコンビニエンスストアができました。
と言っても、もう1年近くも前の話です。
オープンの日、早速行ってみました。
どこにでもある大手のコンビニですから、
特に目新しいことがあるとも思っていませんでしたが、
ま、店によって若干品揃えも違ったりするので、
とりあえずチェックチェック。
ところがこれが、どうも良くない。
品揃えが私好みではないんですね。
かなり広い店舗なので結構期待していたのですが。
確かに、幅広いジャンルの品揃えにはなっているのですが、
何故だか私がウキウキするようなモノがない。
うーん・・・こんなもんなのかなぁ。
近くて便利だけど、私には合わないかなぁ。
その時点では、このお店に行くことは
おそらくほとんどないだろう。と思っていました。
とは言っても、帰り道にあるわけですから
何かの拍子に立ち寄ってしまいます。
お茶とかジュースとかカロリーメイトくらいは買います。
そしてある時突然。
気づいてしまいました。
その店に行くとなんだか気分がいいのです。
その店から出るときには、不思議とニコニコしているのですね。
最初は一人の店員。
おそらく女子大生のアルバイトだと思います。
ものすごくべっぴんさん。というワケでもないのですが、
とても気持ちがいいのです。
とにかく笑顔が素晴らしい。
笑顔と言っても、どこかのファーストフード屋の
とってつけたような笑顔じゃない。
「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」
心から言ってくれている気がするような、そんな笑顔。
なんだか分からないけど、コンビニに行って
こんなに歓迎されたことあったっけ?と思ってしまう。
気がつくと私も笑っている。
そして、いつも一生懸命。
商品をとても大切に扱っていて、
買ったモノを袋にいれてくれる時も、
ただバサバサっと入れたりしない。
商品がつぶれたり、傷ついたり、偏ったりしないように
考えてくれているのが、とてもよく分かるのです。
たまに上手くいかないことがあって、
「あれ? どうしよう?」と困った顔をするんだけど、
これがまた可愛らしいんですね。
いいよ、いいよ。テキトーで。ありがとね。にっこり。
ふとした拍子に声をかけてしまいました。
「いつも元気だねぇ」
「あ......そうですか?(にっこり)」
「うん。すごく気持ちがいいよ」
一呼吸おいて。
「ありがとうございます!!」
満面の笑みでした。
疲れが吹き飛びました。
まるで、おっさんやな......。
それから気をつけてみていると、
この店の店員はみんなそうなのです。
男の子も女の子も。
私が行く時間帯は大抵若い学生アルバイトばっかりなのですが、
一人一人がみんないい笑顔を持っています。
品揃えは不満だったけど、なんとなく毎日のように
立ち寄るようになっていました。
そんなある日。
この店の店長がレジをしてくれました。
40代後半くらいの男性です。
この人を見た途端に「ああ、なるほどなぁ」と
思ってしまいました。
決してハンサムではない。ダンディでもない。
でも、なんかホッと安心するような、
柔らかで温かい感じのする人でした。
他の店員達と同じように一生懸命。
些細なことかもしれないけれど、
ちゃんと目を見て「いらっしゃいませ」と言ってくれる。
その日はいつもより少し多めにお買物をしたので、
レジにも時間がかかりました。
それを待っている間、私はまた声をかけてしまいました。
大阪のおばちゃんですからね。
「いいスタッフを揃えておられますね」
「え?」
「いえ、いつもみなさんの笑顔に癒されて帰るんです」
「そうですか! ありがとうございます!」
「こちらこそ、いつもありがとう」
「いえいえ。どうぞまた、よろしくお願いします」
深々と頭を下げられました。
ほとんど毎日のように、この店に寄ります。
たくさん買うワケではありません。
でも、ドリンク剤一本でも、立ち寄ってしまいます。
別に、いつもいつも何かを話しているのではありません。
ただ普通に「いらっしゃいませ」と「ありがとうございました」が
繰り返されるだけのことです。
でも、いつも元気をもらって帰ります。
最近では、夜遅くに仕事の帰りに寄ると、たまに
「おつかれさまです」
と、言ってくれたりもします。
それでまた、癒されます。
日によっては店に入らないこともありますが、
そんな時でも、ガラス越しに目が合うと、
あの笑顔をくれます。
仕事のリズムが変わって、本当にしんどい日々が続いていますが
ドリンク剤よりも、カロリーメイトよりも、
あの笑顔は私にとってはとても効果の高い栄養剤です。